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青山OL期間が ~6月30日 になりました
2026/06
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黒子は教室にバッシュを忘れました
紫原の可哀想は桃と紫と黒と青、全部に対して

 

 

 

 

 

 

 

 

***********************************************************

 

 

 

何を考えているかは分からない
だが、いつも素直で、自由
だから、嘘なんかきっとつかない
いったこと、しでかしたことは全て彼の真実なんだと思う

 

【夕日を背負う子どもたち】

 

夕暮れの教室

部活の時間であるにも関わらず桃井が立ち上がれないでいたのは
相変わらずの幼馴染の身勝手な振る舞いに辟易してのことだった

嫌いなわけではない、ただ、今顔ををあわせるのが嫌だ

そんな思いが桃井を縛っていた
中学生にもなって、子供みたい、と思いながら
あえて頬を膨らませてみる
誰もいない教室
少女らしくない行いを誰も咎めず、誰も笑わない
桃井は息を吐いた

そのときガラガラと教室のドアが開いた

「さっちん、何してるの?」
「わっ、ムッくん」
「部活。はじまってるよ」
「…ムッくんこそ遅刻だよ」

痛いところをつかれて桃井は言葉につまりながら
一言、一矢報いる気で紫原に言葉を返した
しかし、当の紫原は何も気にしていない様子でうなずく

「昼寝してたら放課後になってたんだ」
「あ、そう…」
「峰ちんと何かあった?」
「え、なんで」
「さっちんが落ち込むの、それしかないから」

そんなことないよ、と桃井は返すことができなかった
図星であった

安いゴム製の靴がきゅ、きゅ、と鳴って紫原が歩く
荷物を取るのかと思いきや、彼は迷わず桃井の元へ歩み寄った
窓から差し込む夕日で紫原の髪の毛が僅かに色を変える
高い位置から見下ろされて、桃井は立ち上がった
そうでなければ首が痛いし、よく見えない

「さっちんは何で峰ちんのこと好きなの?」
「えっ、いや、なんでっていうか、そもそもスキとか、」
「何でかな…。俺、さっちんが何考えてるか良く分かんないんだよね」
「それはこっちのセリフよ。私だってムッ君が何考えてるか分かんないもの」
「そうなの?俺分かりやすいと思うけど」
「分かんないよ、ぜんぜん」

紫原は少し視線を落として考えた
長い睫毛を桃井は見た

「…俺は、いま、さっちんのことを考えていて…」
「…うん、…?」
「…さっちんが、峰ちんのことで、悩まなければいいなって、思う」
「ムッ君…あ、」

ありがとう、と言おうとした言葉は、桃井の言葉は
紫原に無理やり掻き消される

「だから、苦しいときは助けてあげるよ」

腕をつかんで
ぐっと引き寄せると、身構えていなかった桃井の体は転がるように前へ出た
紫原はそれを正面から受け止める
紫原がバランスを崩すことはない、そのような柔な体のつくりはしていない
勢い良く抱き寄せた割には、まるで元からそこにあるべきであったかのように
桃井の体は紫原の腕の中に収まった

「…ムッ君?」
「俺が何考えてるか、分かった?」

桃井はそれに答えない
しばらく、沈黙する夕日が教室を支配する

ようやく桃井が吐き出した声は悲壮だった

「…ムッ君、ぶかつ…、部活、行かなきゃ」
「…そうだね」

紫原が腕を解くと、桃井はするりと夕日と教室と紫原から逃げ出した
ゴム靴の足音が遠ざかって行く
その足音が消えるまで紫原は微動だにしなかった

足音が聞こえなくなって、別の足音が聞こえて
紫原は静かに視線を動かした

「悪趣味じゃない?」
「紫原くんに言われたくありません。桃井さんが青峰くんを好きなのは誰が見ても明らかなのに」
「だって、峰ちんひとりがさっちんのおっぱいを独占するの、ずるくない?」
「はぁ…、そこは僕は分かりかねます」

黒子はすたすたと自席に向かい、
机の右側にかかっている布袋を拾い上げると踵を返した

一度立ち止まって振り返る
窓に背を向ける紫原の顔は、逆光でよく見えない

「紫原くんが桃井さんをどういう形であれ大事に思っているのは分かりました。
でも、伝え方が桃井さんに分かりやすいものではなかったと思います」
「そう?俺は峰ちんよりは分かりやすいと思うけど」
「青峰くんは桃井さんにとって規格外ですから、いいんです」
「ふぅん…?ずるいなあ」

紫原は、きゅ、と靴のかかとを鳴らして踏み出した

「部活、行きますか?」
「行かない。可哀想だから」

教室を出て行く紫原の背中を黒子は見ていた
赤い赤い夕日を背負う彼の姿はすぐに見えなくなる

彼も、赤い夕日を背負う桃井を見たのだろうか?

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今度こそ青桃














*****************************************************************************

ごんごん、と窓を叩く音
1階のリビング、庭に面したところ
カーテンを引いて窓を開けると
庭に青峰が立っていた
降り始めた雨に短い髪の毛を濡らして、

 

【大人になってそれを愛と呼べるか分からないのが恐ろしくて】

 

「雷。くるらしいぜ」
「しってる。さっきニュースでやってたから」
「あっそ」

勝手の知れた隣家の冷蔵庫から
ほぼ青峰専用と言える炭酸飲料を取り出し
青峰はコップも使わずにそのまま茶色の液体を流し込んだ
喉の奥で僅かに炭酸が弾ける

「今日おばさんたちは?」
「仕事で遅くなるって」
「メシは?」
「レンジでチンするのと、あとご飯とお味噌汁暖めればあるよ」
「あっそ」

青峰がテレビの前のソファにどっかりと座ると
桃井は何も言わずにその隣、青峰から65センチほど離れた場所に腰掛けた

テレビをつける
適当にチャンネルを変えて
適当なところで、なんもやってねえ、と青峰は呟いた

「9時からドラマ見たい」
「今まだ7時半だぞ」
「9時からのドラマ見たいから、テレビ権予約なの」
「ほかに面白そうなのなかったらな」
「えー!」

そのとき。

ごろごろごろごろ…
がしゃん!!

雷が落っこちた
ざあざあと雨音が大きくなっていく
少しずつ
音の波が波紋を
テレビの音は掻き消されず、しかし意識の外にはじかれて
桃井の耳に届かなくなった
この世界の音は雨音と雷と2人分の声と呼吸

「…落ちたね」
「驚いたか?」
「べ、つに!」
「っは」

軽く、薄く、笑って青峰は桃井の手の甲に掌を重ねた

「いつまでたってもガキのまんまだな」
「…仕方ないでしょ、苦手だから」
「泣かなくなっただけ進歩ってか」
「昔からそんなに泣いてないわよ!」

がしゃん!

空気が裂かれて悲鳴があがる

雨はやみそうにない

「…いつまでもコドモじゃないわよ」
「まだ怖いんだろ。ガキじゃねぇか」
「もう!」

青峰は手に力は込めない
桃井から指を絡めることもない

子供のころは素直に泣いて、泣きついて
手を強く握ってもらっていた、それは既に過去

やがていつか大人になって怖いものがなくなったときに
この手と掌はどこへ行くのか

「…いつかオトナのオンナになるんだから」
「…いつだよ」

この手と掌の間にある温度に名前がつく日が、いつか
 

最初は桃ちゃんのことを考えていたのだが途中から紫が出しゃばってこうなった
ほんとうは今日の仕事が終わっていないのでそちらをやるべきだが
飽きたので小説を書くんだ私は今日小説を書く\(^o^)/














**********************************



【愛する人は思い出でできているので迂闊に彼の思い出に嫉妬もできない】



顎から喉元、鎖骨
首の周りに引っかかる銀の、

「いつもつけてる」

紫原は指をゆっくりと閉じる
小指から徐に、徐に
小さなリングは大きな掌に
やがて包み隠されて

紫原は力をこめた

当たり前であるが
小さなリングは紫原の力に屈せずに
そのままの形を留める
静かに掌を開くと小気味の悪い、薄い光をたたえたリングが姿を現した

少し年季の入った、鈍った銀のリング

「うん、思い出の品だからね」
「大切?」
「そう、大切」
「ふうん」

紫原は興味を失った野良猫のように
リングからも氷室からも手を離した
ふ、と顔をそむける
大きな背中を少し丸めて壁にもたれかかった

「妬いてる?」

リングに?
火神に?

「妬いてる」
「はずそうか、これ」
「いい。室ちんが室ちんなのはそれがあって、あったからなんでしょ」
「そうだよ」
「じゃあ、いい。外さないで」

氷室は紫原が無性に愛しくなって悲しくなって少し笑った

「俺はね、敦のそういう不思議な優しさが好き」

どういう理屈でものを考えているのだか
理解することはきっとないのだろう、予測することはできても、きっと
そんな紫原が氷室にとっては、恐ろしい
いつか知らぬ間に傷つけて、いつか意図せずに傷つけられて
そうやって壊れてしまいそうな不透明なパンドラの箱

「俺は室ちんの、すぐ笑うところが、嫌い」
「嫌い、なの?」
「うん。俺のわがままを笑って受け入れるの、嘘みたいに見えるよ」

氷室は笑った

「そういう切り返しする敦が好きだよ」
「それが嘘じゃないのは知ってる」
 

くろばすの紫と氷。

ていうか紫原くんktkr。
お菓子あげたいー。なでたいー。いいこいいこしたいー。
あんな可愛い長身いたら隣におきたいよね。多少ばかでもいいよね。ね。










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【Please Don't Leave Me Alone】



「敦はかみのけに触るのが好きだね」
「そうかな?…そうかも」

危ないから座って待ってて、と言って聞く紫原ではない。
氷室は豆のスープを煮ている。
紫原は料理をする氷室の髪に頬を擦り付けている。
最早氷室も慣れているため、危ないからと口煩く言うこともない。

「ざらざらする。長い猫の毛みたい」
「それは髪が荒れてるって言いたいのかな?」

氷室はかわいらしい女の子ではないから、髪の手入れなどしない。
シャンプーとリンスが浴室にあって、惰性で毎日使っている。

「荒れてる?」
「枝毛とか?」
「そういうのはないと思う。もっとよく見て探したほうがいい?」
「いや、いいよ。ありがとう敦」

鍋をかきまわす手は止めない。
ただ、今にもごろごろと喉を鳴らしそうな紫原が可笑しくなって氷室はくすくすと笑った。

「髪、」
「ん、」
「さらさらヘアを目指してみようかな。敦が好きなら」
「ん…」

紫原は頬をすりつけていた氷室の髪に、今度は鼻先をつっこんで口付けた。
氷室の髪と頭に口づける。
しばらくそうしていてから、紫原はうんと頷いた。

「俺は室ちんならなんでもいい」

その言葉に氷室は目を丸くした。
鍋をかきまぜる手が止まる。
首をぐるりと回して紫原を見る。
紫原は氷室を覗き込むように顔を離した。

「敦、それは口説き文句だよ」
「そうなの?でも、俺、室ちんのこと好きだから間違ってないよね」
「間違ってはいないけど、」

(他の人にぽろっと言いそうでちょっと嫌だな、)

「室ちん、何か考えてる?」
「いや、なんにも。できたよ。ご飯にしよう」

氷室はおたまを置いて紫原を押し離すように紫の髪に触れた。

「室ちん、もっと触ってよ」
「ご飯食べたらね」

氷室は最早どう答えればよいか分からず、笑った。

くろばすの紫と氷。

正直あんま憶えてないのに書くのどうかなーと思ったけど
なにかが降りてきたのでかきました。








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【焼ける空と同じ色の愛情】

 

旅行に行こうと言い出したのはどちらだったか。
紫原も氷室も記憶していない。記憶していないが、
それは出会って間もない頃のことだったように思う。
初めてキスをしたのもそのときだ。

知らない街の誰もいない公園で、屋台で買ったまんじゅうを頬張っていた。
ブランコに揺られながら、紫原の膝の上には1つだけ残ったまんじゅう。
夕日がまぶしい。

「最後のいっこ、食べていい?」
「いいよ。美味しかった?」

氷室の質問には答えずに紫原はまんじゅうを頬張った。
さして大きくもないまんじゅうは紫原のふたくちでこの世から消える。
その僅かな間に、あんこと皮がぼろぼろ落ちて紫原の膝の上に落ちた。
気にした様子もなく紫原は膝の上から食べかすを払いのける。
そのしぐさを見て氷室は失笑した。

「ついてる」
「ん」

氷室は腕を伸ばして紫原の口元についたあんこを拭ってやった。
僅かに逡巡して氷室はそのカケラを口の中にいれる。
甘い。
遥か海の向こう、米国ではあまり口にしなかった類の甘さである。
自分の口の端の甘味を拭って食べた氷室を、今度は紫原がしげしげと眺めた。

「室ちんはおかあさんみたいだね」
「そう?」
「うん、俺のおかあさんはそんなことしないけど」
「じゃあお母さんじゃないんじゃないかな?」
「そうかな?」
「そうだよ」

じゃあ何かな、と紫原は呟いた。
紫原が何を言わんとしているか、それこそ氷室のほうが知りたいことである。
くすくすと笑って氷室は小首を傾げた。女の子のように。

「恋人みたい?」

紫原はすこし考えた。
氷室は、すこし間違えたかな、と思った。

しかし紫原は、

「うん、そんな感じ」

と答えた。

その答えに氷室は戸惑う。
先ほど紫原の口許についていたあんこは指で拭うより舐め取れば良かった、と思う。
氷室の左手が何の前触れもなく紫原の左腕に伸びて、手の甲が触れた。
紫原は動じず、払いのけもせず、氷室の目を高い位置からのぞきこんでいる。
氷室はその視線に怖気を感じつつ言葉を零した。

「キスしたいって気持ちとキスされたいって気持ちは同じなんだ。…知ってた?」
「知らない」

紫原は氷室の髪に指を差し込んだ。
手入れのされていない髪は毛先がやや痛んでいて、
しかし紫原の指を引き止めることはなかった。
さらりと髪を梳いて指が落ちる。

「敦が教えてよ」
「いいよ。目、閉じて」
「閉じたら分からないよ」
「そういうものなんだけど…まあいいか」

氷室は紫原に口付けた。目を開けたまま、
近すぎる距離で居た堪れないくらいに見つめあいながら。
しばらく唇を吸った後に離れると、今度は紫原から口づけてきた。
口付けと言うにはあまりにおこがましいかも知れない。
噛み付くように口付けて、無理やりに舌が入り込んでくる。
物覚えが良いのか、慣れているのか。
あるいは氷室が受け入れなれているのか。

目を閉じる気配のない紫原の高い位置にある肩にすがって、氷室は目を閉じた。
 


桃青桃小話メモ:
①お弁当、箸忘れる、じゃんけん、おにぎり 
②春先、屋上、昼寝、くしゃみ 
③ボールがぶっとんで非常灯クラッシュ、逃亡、隠れる、空腹




【①学校の屋上的非日常、自宅の居間的日常】

 

「あ」
「ん?」
「箸、入れ忘れた」
「バカかよ」
「…。別にバカにしてもいいけど、昼飯食べられないぞ、このままじゃ」

学校の屋上の給水塔。の、影の部分。
スポーツタオルを3枚詰めた鞄を枕に青峰は寝ていた。
桃井は母と作った2人分の弁当を手にしていた。

5月とはいえ日差しが暑い。
元々肌が黒くて暑さに強そうに見える青峰は、実際のところ暑さを極端に厭う。
夏の屋外でのバスケはするくせに、太陽の日差しの下でじっとしているのが耐えられないのだそうだ。
桃井はそれを見ながら、どんなときだってじっとしてるのは苦手だろうに、と思うが、
小理屈をこねられて喜ぶ男ではないとよく知っている。
桃井自身もそんな青峰の矛盾をつつこうとは思わない。
気だるげな青峰は見慣れているし、むしろそんな青峰を見ていることが桃井の日常である。

「青峰くん、食堂で箸貰って来てよ」
「なんでオレが」
「じゃあジャンケン」
「ァあ…?」
「じゃーんけーん、ぽん」

ぽん、

と出された色の黒い手はグーで色の白い手はチョキ。
桃井の負けである。

「うっわ、めんどくさ…」
「人に面倒事を押し付けようとしてんじゃねぇよ」
「だって青峰くんのが足速いじゃないか。食堂1階だよ」
「早く行け」
「もー…。手掴みで食べたりとかしないで待っててよ」

た、と桃井は階段に消えた。
桃井の足音が聞こえなくなると、青峰は起き上がって桃井の鞄を開いて弁当を取り出した。
おかずの入ったタッパーとおにぎりが入ったタッパー。
おにぎりには赤や青や緑のシールが貼られている。
まよわず青のおにぎりを取って、食べた。肉味噌おにぎりである。
迷わず青いシールのおにぎりを2つ3つ食べた頃、桃井が帰ってきた。

「あ!先に食べてる!」
「おにぎりだからいいだろ。ラップかかってるし」
「だめだよ!ていうかお手拭入ってるんだから手くらい拭こうよ!ほら、」

桃井は鞄の中からお手拭を出して青峰に渡した。
青峰は何を言うでもなく手を拭く。

箸2膳。
タッパーを挟んで青峰の向かいに座って、桃井は手を合わせた。

「いただきます」
「ん、」
「青峰くん、いただきますは?」
「ます」

青峰はから揚げを、桃井はしょうゆの卵焼きから手をつけた。
黙々と食べる。
日陰に吹き込む、少し乾いた風が心地いい。
野菜も食べなきゃ駄目だよと言いかけて桃井はやめた。
まるで家に2人でいるときのようである。

そういえば家の外で2人で食事を摂るのは久しぶりだ、と桃井も青峰もそれぞれに思った。
いつも喧しい部活の連中の姿がない。

「みんな今日はお弁当ないから食堂行ったよ」
「いつもこれくらい静かならいいんだけどな」
「まあ…あっ肉味噌あと一個しかない!」
「残念だったな。家帰ってから食え」

ひょい、と青峰は青いシールのおにぎりを手に取った。

「あ、あー!最後のいっこ!」
「梅とたらこあるからいいだろ」
「梅とたらこも好きだけどさー…肉味噌…」
「さつき、お茶」
「うん」

恨み言を呟きながらお茶をカップに入れて青峰に渡した。
少し考えてから、桃井は緑のシールのおにぎりを取った。

(今日青峰くんは帰ったら何が食べたいって言うかな)

そんなことを思いながら、桃井自身は肉味噌に思いを馳せていた。

練習。




:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::





【ももいろフラミンゴ】
いつからだろう
苗字で呼ぶようになった
昔は名前で呼んでいた
苗字なんて、知りもしなかった

「青峰くん!おはよう」
「おう」

毎朝一緒に通学することも珍しくなった

「今日メシ食いに行くから」
「うん。メインはハンバーグだって言ってた」
「まじかよ。練習サボりてえー」
「もう、だめだからね!サボったらご飯抜きなんだから!」
「オマエが作るわけでもねーだろ」

夕飯は一緒
週に1回くらい
週に1回の夕飯のときは一緒に帰る
週に1回くらい

いつからだろう
距離が遠くなったのは
遠ざけたのか、遠ざかってしまったのか
少しずつ成長して、コドモじゃなくなって
どこかで間違えた?
いま、間違っている?

「さつき」
「・・・え?」
「なんだよ、なに驚いてんだよ」
「あ、ううん、なんでも。なに、どしたの?」

分からない
それでも名を呼ばれることに恐怖と嬉しさを一緒に感じる
どうしていいかわからないまま

(だいきくん)

「青峰くん」

 

【あおいそら】

もうだいきくんって呼ばない、あおみねくんって呼ぶから

と、宣言されたのは小学校5年か、6年か
あまりよく憶えていないが、とても腹が立ったのは覚えている

(なんだよそれ)

「さつき」
「・・・え?」
「なんだよ、なに驚いてんだよ」

腹が立ったのはなぜだったか
いまも、腹が立つのはなぜか
どうしたら、ああそうかよ、と何も考えずに答えられるのか

「あ、ううん、なんでも。なに、どしたの?青峰くん」
「・・・今日の練習試合、勝ったらお前の分のハンバーグよこせよ」
「えっいやだよ!青峰くん絶対勝つじゃん!」
「だって腹減るだろ」
「私だって頭脳労働してるんです!」

なぜ腹が立つのだろう
ただ話しているだけで
喧嘩しているときとは違う
話さなければ、会わなければ、それはそれで腹が立つのに

「おまえなんかいなくても勝てる」

出てきた言葉は、自分でも棘だらけだと分かった
でも引っ込めない
ふん、と鼻を鳴らす音
左肩のあたりで

「知ってるもん、青峰くんが強いのなんて」

その言葉に笑った

昔から
そうだ、昔からのつきあいだ
全部分かっているはずだ
分かっていて欲しい
欲しい言葉もなにもかも、ぜんぶ

「あっテツくん!おはよう!」
「おはようございます、青峰くん、桃井さん」
「・・・はよ」

棘だらけの言葉も腕も心も全部
どうして分かってくれない
 

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